平和、とは?

なんとなく、ですが私は、漠然と平和というものを信じていないようです。
実は、「平和」をどう捉えるか(どう定義するか)が、私にはちゃんと理解できていません。

「心の平和」は理解できます。
心が波立たない状態。
つまり、仏教でいう「悟りの境地」に近いようなイメージ。

「世界の平和」は、私にとって意味が曖昧すぎます。
世界の平和と言ったときの「世界」をどう捉えるかが定まりません。
人間を含んで地球全体、とすると、(人間はもちろんですが)動物や物質についての「平和」とは?
そもそも、動物の世界は「弱肉強食=戦い」に支配されているから、平和はありえない。
では、物(無機物)の平和はどうだろうか?
太平洋プレートが押し合っている最前線(境界面)では、そこに「平和」はあるのだろうか?
つまりは、「世界」という言葉は使っているけど、実際には人間だけに限定しているということかな。

ということで「人類の平和」とは?
人類と限定した時点で、何だか「人間のエゴ全開」というふうにも解釈できてしまいます、人間以外を無視しているような。
そこはとりあえず脇に置いて、人間だけに限定して言った場合は、「戦争(戦い)がない」こと?
では、友達同士の諍いは「戦争」に入る?
あるいは、黴菌と白血球(病原菌と免疫)が戦っているのは?
といういことは、人類の平和というのは、人間同士の殺し合いのない状態、という意味なのかな。

何となく平和を考えるときには、「人間だけ」が平和ではないという前提をもとにしてしまっているように感じますが、実は人間を含めてどこにも平和はない、というのが事実なのかもしれません。

今更ながら、「平和」の意味を調べてみました。
辞書としての定義は、平和とは戦争や争いごとのない穏やかな状態のこと、というふうです。
でも、一般的解釈(広義の解釈)としては、様々な意見があって定まっていないようです。
それはまさしく、争い(その反語としての平和)や物事が穏やかに進まないこと、を考える上で、そして世界や自分のあり方を考えるきっかけとしては、とてもよく機能していると思います。

と、いろいろ考えてみて、やはり私には大上段に構えて「平和」なんてことを到底言えません。
「平和」という言葉を使うことで、なんとなく良い感じがするだけの(決して実態のない)言葉だけが上滑りして消えていってしまうような、現実的ではない机上の空論をかざしているような思いになります。
これは、他の方が「平和」を述べることを批判しているのではなく、あくまで「私にとって」の感覚です。

つまり私にとっては、「心の平和」以外は、「平和」についてポジティブな感覚はないのかもしれません。
その「心の平和」に関しても、「平和」という言葉は使わず、「平静」とか「穏やかさ」とか「波立たない」とかの言葉を使います。

どうも「平和」という言葉は、私にとっては、自分の守備範囲外で、ちゃんと使うことのできない言葉のようです。